(第一回)ZABの誕生と「切込隊長」 2018.12.6

「全国空き家バンク推進機構」なるものができて、1年。私がこの組織と関わるようになって、1年。ちょっと誤差はあるにしても、ほぼ同時に、私はこの組織の一部になった。
「産みの苦しみ」というのはこういうことなのかと日々痛感する(子どもを産んだことのある人からは、そんなもんじゃない!と叱られるかもしれないけど)。 生まれたばかりの「ベンチャー」だから、これで大丈夫なのか?と猛烈な不安に襲われるときもあれば、パズルのピースがピタッとあったときのような、なんともいえない快感を味わうときもある。この組織は、後者の方が断然多い。

 

今、私は、とある地方都市の駅近くにあるホテルの片隅で、このコラムに取りかかった。コラムなんて書いたこともないけれど、この組織で味わう面白さや驚きの数々、そして全国で挑戦し続けている人たちのストーリーを、一人でも多くの人に紹介したいと思った。そしてもしかしたら、これを読んでくださっている人たち自身や皆さんの周りでは、もっともっとワクワクすることが起きているんじゃないかと思い馳せながら。

 

私は10年ちょっと、市役所の職員として毎日の仕事をこなしてきた。今から1年前、ある人物が現れるまでは。それは、言わずと知れた樋渡啓祐氏、本人。このコラムを読んでいる皆さんに、樋渡の説明は不要だと思うけど、後に他の人が彼を表現した言葉が、私にはしっくりきた。
「UFOキャッチャー」
そう。まさにその通り。彼は、適任だと思った人物を「さらって」「落とす」。
そして樋渡クレーンだけは、元の場所かどこか知らぬところへ旅立ち、次のターゲットを見つけてまた落とす。そうやって集められた人間が、概ね10人。今、新たに何人かに狙いを定めているようだ。ターゲットとしている(であろう)人たちの魅力を、私たちに滔々と語る樋渡の姿がまた面白い。

 

私のいるこの組織は、みんなそれぞれが個性的。得意分野も違う。でもその個性が掛け合わせることによって、この組織の力は爆発的に大きくなっている。これもまた樋渡マジックの一つで、彼を知る人間はその掛け合わせの凄さを語る。
以前、このコラムで樋渡も書いていたけれど、「自転車×ヤフオク」(@高槻市)、「図書館×CCC(蔦屋書店)」(@武雄市)といった「掛け合わせ」能力はプロ級だと彼は自負している。今、自分自身が掛け合わされる側になり、その一部として体感中だ。

 

さて、この組織が出来て1年とはいえ、私たちが事務局職員として全国から集められ、事務局機能が本格稼働したのは今年の4月。だから、今はちょうど半年経つところ。
私たち事務局員はこの半年間、樋渡にくっついて全国いろんな地域に出没し、まちの課題を目の当たりにしてきた。これまでは、自分が生まれ育ったまちしか知らなかったけど、東京も地方も、そこで住むことを選んだ人たちが、それぞれの人生を生きていて、それぞれの喜びや悩みがあることを知った。

 

その中で、いくつかの自治体とは具体的な取組を加速させるために連携協定を結び、スタートを明確にした。今は3つの自治体、1つの金融機関、(民間企業やNPO法人にいたっては、なんと150近い連携の申し出が寄せられている。日々増えているので、このコラムが世に出る頃には更に数字が増えているかも!)と、具体的な取組を進めているところ。
中でも、私の人生で強い衝撃を受けているまちの1つが、今帰仁村(なきじんそん)だ。
今帰仁村は、沖縄県の北部「やんばるエリア」にある。「美ら海(ちゅらうみ)水族館」の近くと言うと伝わりやすいだろうか。
今帰仁と書いて「なきじん」と読むが、まず、この漢字の並びが美しい。そして、この村の美しさは、沖縄の象徴とも言える「海」だけではなく、今帰仁城跡を始めとした景色一つ一つにあり、それぞれが琉球王朝の歴史を物語ってくる。

 

私は「切込隊長」として、8月1日この村に到着した(樋渡からはよく「海兵隊員」と言われる。海兵隊とは、陸海空軍が進駐する前に、先に乗り込んで兵站を整えるのが役目らしい)。ちょうど、小学5年生の息子が夏休みだったので、よい経験になればと連れて行くことにした。

 

今帰仁城跡。地形に沿って這う城壁の曲線美は見事。

 

 

 

いけ

いけ 別府生まれ・別府育ち。趣味は海鑑賞・ヨガ・寝ること。

一般社団法人全国空き家バンク推進機構(ZAB)

〒102-0093 東京都千代田区内幸町 2-2-3 
日比谷国際ビル 18F 1801

© 一般社団法人全国空き家バンク推進機構(ZAB)