(第六回)「教育×空き家=人口増」[前編] 2018.12.24

「教育留学」との出逢いは、私たち親子にとってまさに運命だった。

教育留学とは、その名のとおり「秋田の教育」を受けるために子どもだけが親元を離れて北秋田市に“留学”する制度だ。

秋田県は、文科省が実施する全国学力テストで常にトップクラス。「秋田の教育」というのは、その教育方法に対する注目故のキーワードである。しかし、それだけではない。私の息子の場合は、冬のスキーにすっかりはまってしまった。したがって、「教育」というのは学校の授業だけではなく、自然体験や身体を使った活動も(特に一面雪に覆われる冬の時期は、息子曰く最高に楽しい毎日だそうだ)、この「教育留学」の魅力を語る上での大きな柱だと感じている。

 

さらに、秋田県と北秋田市を自治体として捉えたとき、何よりも素晴らしいと感じるのは、近視眼的ではない戦略と部局横断的な横の連携だ。例えば、「教育留学」を単なる思い出作りのような一過性のもので終わらせることはしない。北は北海道、南は我らが九州から、意思を持った子どもたちが集まりここで多感な時期を過ごしていく。第二の故郷となるであろう子どもたちに、このタイミングで戦略的な“投資”を行う。さらに、お試し移住など家族が丸ごと引っ越すこともできるよう、教育の現場と企画セクションとの見事な連携をやってのける。本来、県と市はもちろん、同じ役所内でも隣の課(場合によっては隣の“係”)との連携も難しいのが“自治体”であるのに、北秋田市の場合は、秋田県教育委員会、そして北秋田市の市長部局と教育委員会とが手を取り合い、一人の子どもに対して(一つの家庭に対して)個別具体的な寄り添いをする。これほどの横の連携をやってのける自治体は、私は他に見たことがない。同じ自治体職員として、感動すら覚え、今その秘訣を探っているところだ。

 

さて、こんなに素晴らしいまちではあるが、私は「北秋田市×ZAB」の連携を元に、仕事面でも何かお手伝いできないかと日々思いを巡らしている。そこで、次の2つのことを提案したい(・・・と、密かに考えている)。

私がこの半年間、北秋田市と東京との二地域居住をするようになり、身をもって気付いたことでもあるし、実は、北秋田市が特別そうなのではなく、全国どのまちでも当てはまるのではないかと感じ始めたことだ。

 

まず1つは、訪れたファンを“日常で”つなぎ止める仕掛けをするということ。そしてもう1つは、子どもも大人も、その知的好奇心をくすぐるような“居心地のよい空間”を作るということだ。これは、このまちにどっぷり住んでいる人ではなく、自宅は他のまちにありここに通っているファンでしか気付かない視点かもしれない(まさに、“デュアル”生活をする私のような!)。

具体的な提案の深掘りは次号以降に譲るとして、そもそも、このまちが政策の効果として「人口増」を目指すのであれば、この2つの実践は、ここでの暮らしの魅力を一気に増すことができ、実は一番の近道ではないかと思う。

 

秋田の郷土料理「きりたんぽ鍋」。鶏の出汁がなんとも言えない「家庭の味」です。

いけ

いけ 別府生まれ・別府育ち。趣味は海鑑賞・ヨガ・寝ること。

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