(第十七回)「いちゃりばちょーでー」の持つ力 2019.3.11

今、ソニックの中にいる。NHK「プロフェッショナル」にも登場した水戸岡鋭治さんがデザインするJR九州の特急列車だ。昨日(310)、大分・別府での仕事を済ませ、これから福岡空港へ向かい那覇空港へと飛ぶ。費用対効果を上げるため連続して出張を組むことが多い私は、息子が通う学校の先生から「全国ツアーお疲れ様です」といつもからかわれている。
移動しながら思うのは、仕事はいつでも・どこでもできるということだ。携帯電話・PC・ポケットWiFiがあれば、本当にどこでもできる。ZABはまさに“ベンチャー”なので、意識的に、そのような仕事形態に作り上げてきたということもある(例えば、固定電話を事務所に置かない、会議はSkypeやZoomを使ったWeb会議を最大限活用するなど)。それから、欠かせないのはノートとペン。いくらテクノロジーが発達しても、私にはアナログな筆記用具が必要。思いが言葉となり溢れ出すとき、PCではうまく書き落とせない。だから、ノートとペン(滑りのよいお気に入りのボールペン)は必須。

 

明日から3日間は沖縄での仕事。今年度の地方創生事業の締めくくりに取りかかっている。
沖縄へ向かうとき、私が繰り返し思い出す会話がある。
私はこの時まで「いちゃりばちょーでー」という言葉の意味を知らなかった。彼は、後でネットで調べるといいよと言い、こう続けた。
「地元の人が誘ってくれるのは、いいことよ。よかったさぁ。もう大丈夫。誘われたらどんどん行くといいよ。」
彼はホッとしたように、私にそう言ってくれた。私の目頭は、反射的に熱くなった。彼の優しい話し方から、その意味はグーグル先生に聞かずとも理解できた。

 

「いちゃりばちょーでー」(あなたは、私たちの仲間)
昨年の夏、10歳の息子を連れ、住み込みで働くことを決めた沖縄。頼る人はおらず、沖縄の言葉(方言)も分からず、漠然とした不安と根っからの好奇心とが私の中では入り交じっていた。
実は、今だから言える話、頼りにしていた沖縄のエージェントが突如仕事を辞退した。私たち親子が沖縄入りする前日だった。私は一瞬目の前が真っ暗になった。
しかしその直後、私は腹をくくった。背伸びせず、自分にできることを精一杯してみよう。それ以上でもそれ以下でもない。等身大の私たちで臨もう。その瞬間、私たちZABの手作り感溢れる仕事スタイルが始まった。

 

無我夢中で教えてもらう毎日。今帰仁村(なきじんそん)の人たちは、私たち親子に寄り添ってくれた。そして今年は沖縄で新年を迎えるほど、私たち親子にとって第二の故郷となった。どこにいても毎日のように今帰仁村の皆さんから電話やメールが届く。「いまどこ?こっちにいるなら一緒にご飯食べよう。」「来年度こんなことしようと思うんだけど、意見聞かせて。」素直に、私は嬉しい気持ちになる。

 

そんな今帰仁村の皆さんに、私たちZABから新春の特別企画をプレゼントした。「ZAB勉強会」。これは、ZABが1年以上続けているオリジナル企画である。
東京は確かに便利だ。人も物も最先端の情報もいち早く集まる。しかし、東京に行かねば得られないと諦めてしまっては、「地方創生」は名ばかりのものになる。
私は9年前、市町村アカデミー(公益財団法人全国市町村研修財団 市町村職員中央研修所)で10日間の地方自治法研修を受けたとき、強い感銘を受けた。地方ではなかなか触れることのできない最先端の話を聞くことができ、もちろん双方向なので、こちらから教授に質問もできる。私たちが現場で扱う具体的事象が、全体を俯瞰するとどこに位置しているのか気づく。私はこの研修をきっかけに、定量と定性を行き来しながら日々の仕事をするようになった。
とはいえ、子育てや介護、現場を離れられない仕事がある人は東京へ行くと言うことは容易ではない。それに旅費予算の上限もあり、希望する職員全員が上京できるわけではない。そうであれば、講師を地方に派遣したらよいのではないか。暑い夏は北海道で、寒い冬は湯のまち別府で勉強会を開く。
私は長年温めていたこの企画を、ZABでやってみようと思った。「地方創生」という以上、東京に行かずとも同じレベルのものが地方でもできる環境を整備したいと。
(次週に続く)

いけ

いけ 別府生まれ・別府育ち。趣味は海鑑賞・ヨガ・寝ること。

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