(第十九回)家族の力 2019.4.1

20年来の友人がアメリカへ旅立つ。
彼女は今日から2年間、夫と子どもたちと別れ一人アメリカのボストンで研究をする。
国内トップクラスの研究者が集まる学内の狭き門を突破し、彼女はその1枠を勝ち取った。結果はもちろん、私はそのプロセスに感動した。子育てをしながら自分の夢を持ち続けること、そしてそれを実現させること。自分一人の時とは違い、守るべきものを持った人は、そのプロセスに何倍・何十倍もの体力と精神力を必要とする。経験したことがある人はもちろん、なくても想像に難くないだろう。
さらにそれ以上に、“女性”である彼女のエネルギーを消耗させるものが、実はあったと思う。それは、過去の人々が作り上げた“この社会”との闘いだ。

 

『ビリーブ 未来への大逆転』
万々が一、私に何かあったときは息子の相談相手になって欲しいとお願いした弁護士がいる。彼女がFacebookで紹介していた映画を、昨日飛び込みで観てきた。
この映画の主人公“キキ”は、性別を超えた正義感と、しかし世の中が彼女に対し否が応でも意識させる“性別の枠”との狭間で、昇華できない感情を垣間見せる。頭脳明晰な彼女も、その感情をコントロールすることは難しい。
これは、“キキ”だけの話ではない。自分が“女性である”というだけで付きまとう「ガラスの天井」。
この映画で“キキ”は、人並み外れた努力でガラスの天井と向き合いながら、前向きに人生を選択し進んでいく。それは一見、社会の変えがたい“常識”を受け入れた人生であるかのように思われた。しかし実は違っていた。彼女は、自分自身の葛藤を昇華し、女性であるが故の不当な制約、また一方で、世の中の男性たちも同様にステレオタイプな男性像をあてがわれていることを説いた。時代は変化し、人々の価値観は変わっているのに、過去の人々が作った法律と判例が、今を生きる人たち、そして次の時代を作る若者たちの未来を奪っていると。

 

これは、性別だけの話ではない。年齢や国籍、病気や障がいなど、その人がその人であることを示す大切なアイデンティティを、その人の未来への足かせにしてはいけないと、私は思う。

 

私はこの映画を観て、“キキ”の正義感はもちろん彼女の感情的な部分にとても心惹かれた。
彼女がその感情を、社会のための力に変換できたのは、夫と娘の理解があったからであり、それはつまり彼らの存在そのものだった。
「男の人が、子どもと家を妻に任せて単身赴任することはよくあること。それと同じだ。」
今日、アメリカへ旅立った友人の夫の言葉である。
友人には、彼がいたから、そしてあの子たちがいたから、この一歩を踏み出せたのだと思った。この国の“これから”を創る1歩を踏み出したこの家族を、私は精一杯応援したい。

いけ

いけ 別府生まれ・別府育ち。趣味は海鑑賞・ヨガ・寝ること。

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