(第二十三回)応援村 OUEN-MURA 2019.6.17

先週水曜日(612)、記者会見を終えた。
来年の東京オリンピック・パラリンピック開催中、全国二千ケ所、二千万人が訪れる「応援村」を創る。規模は、大・中・小と様々想定。大きな公園やドームでやるもよし。廃校や役場の空きスペースを使ってもよし。学童保育所や高齢者福祉施設などの一画でもよし。応援したい人の数だけ・その思いだけ、色んなスタイルがあっていい。それが「応援村」だ。

 

この話を、ZAB理事長の樋渡啓祐から持ちかけられたのは、今年の14日だった。私は、頭の中に電流が走った。これは世の中のためにやるべきことだと。
理由はどうする?と聞かれ、迷わず即答。「空きスペースに価値を付加し、住民を幸せにする。無価値と思われた場所を有価値な場所にする。実際に空き家や廃校を活用すれば良い。理由は何とでもなります」そう答えた。
これを私たちにやるように社会が求めるのであれば、ZABの仕事としてやる。ただそれだけなのだ。

 

当時は“観客村”と呼んでいて、発案者は別にいた。しかし、それは東京のとある公園の中で行うイベントの話だった。
私たちZABが関わるならば、全国の地域にも届けたい。そう思い、様々なキーパーソンに声を掛け、アドバイスをもらい、賛同者を募った。経産省・オリパラ首長連合・ZABの三者が団結し、開催自治体を支援する。できあがったこの仕組みは、当初の“観客村”とは目的も仕組みも異なる一大プロジェクトとして産声を上げた。

 

オリンピック・パラリンピックが日本で行われるのは、私たちにとって一生に一度と言っても大げさではないだろう。これほどの世界的祭典が、自分たちが暮らすこの国で行われるのに、その関わり方が分からない。関われない。そんな声が樋渡やZABに寄せられていた。
私も地方出身者として、東京への距離的ハードル、金銭的ハードル、時間的ハードル、そしてもしかすると精神的ハードルがあることは身をもって知っている。これを乗り越える仕組みを創ることが、そもそも「地方創生」のはずだ。だから私は、これらの障壁を軽く超えてしまう仕組みをここで作りたかった。
この「応援村」の“肝”は、多様な価値観や多様な生き方の人たちを応援する仕組みを重要な柱としたことだ。
私は、小さい子どものいるご家庭、障がいを持った方、高齢の方、多様な人たちが、それぞれの楽しみ方を可能にする「場」を創りたい。そう思った。
この思いは、私が5年前に障害福祉課で働いていたときのことが原点になっている。最も強く印象に残っているのは、生まれたときから重度の障がいを持つ人たちが入院する病院へ通っていたときのことだ。親御さん(たいていは、母親)たちとの会話は、私自身、子を持つ同じ母親として、筆舌に尽くしがたいものがあった。彼女たちは、看護師が我が子の世話を24時間はできないので、自分が看るのだと言っていた。寝たきりの我が子の横でパイプ椅子に座って一日を過ごす。必ずといっていいほど自責の念を抱き、外出や子育ての息抜きをすることにも罪悪感を抱いていることが容易に感じ取れた。障がいを持つお子さん自身もそうだけれど、そのご家族の皆さんもオリパラに関われる場所を創りたい。しかも、どこか遠くへ出かけずとも、彼女たちの生活の延長上に創りたい。そんな思いが、「応援村」を「今の応援村」にした。

 

今思えば、14日からの私は、寝ても覚めても「応援村」だった。
大学の受験勉強を猛烈にやっていた頃のように、夢の中でも「応援村」問答をしていた。
これまで封印していたけれど、この半年間色んなことがあった。面白おかしいものから、非常に深刻なものまで、そのエピソードを少しずつここでお話ししていきたいと思う。

 

612日に東京・虎ノ門ヒルズ、そして三重県庁、2か所同時に記者会見をするというアイデアは前代未聞だと思う。こういう発想をしてしまうZAB理事長の樋渡啓祐は、(上から目線で恐縮ですが)素直にスゴイと思う。
私は別府市役所からZABに来て、まもなく1年半が経とうとしている。企画から実務まで、様々なフィールドで多様な経験をさせてもらえることに、普段は言えないけれど、心から感謝している。
ここは、評論家輩出のための研修所ではない。世の中のためになる企画を立て、実行に落とすということをとことん実践できる唯一の場所だと私は思う。

 

これから「応援村」は大きく動き始める。
自治体職員、民間企業の皆さんの中で興味のある人は、是非一人でも多くZABを実務研修の場として活用してほしい。私自身、ここに来て大きく世界が変わり、世の中の見え方が変わったから。

 

いけ

いけ 別府生まれ・別府育ち。趣味は海鑑賞・ヨガ・寝ること。

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