今回、2チームに分かれ、町内2つのエリアでの展開を検討していくことにしました。各プロジェクトリーダーの皆さんが取り組まれたいことをエリア内の空き家を活用した事業として実装できるか考えていく視点に加え、プロデューサーとしては、それをさらにエリア全体で展開していく構想も組み立てていきます。
自己紹介の後は、2つのエリアを知るためのフィールドワークです。最初に訪ねたのが、現在DIY中の「移住お試し住宅」。海が目の前でBBQにはもってこいの広々とした庭のある平屋ですが、当初は鬱蒼(うっそう)とした草木に覆われ、家の姿が見えないほどだったそう。1チームはこのお試し住宅も仕組みに内包したプロジェクトをまとめていくことにしました。
こうした活動の起点になる場が一つあるかないかが、プロジェクトの進捗に大きく影響します。地域にまず一步入り込むことができる、お試し住宅のような自治体の仕組みを起点に使う手法は、空き家を活用した移住関心層と地域とのタッチポイントづくりとして、汎用性が高いのではないかと考えます。
また、参加者の面でも同様です。地元の方々と、地域おこし協力隊や若者チャレンジ応援といった自治体の仕組みで、まちに新たに入ってきた方々とがミックスすることで、議論の中でも、お互いに気づきを共有できる瞬間が何度もありました。
例えば空き店舗が目立つ元商業エリア。地元の人も今ではほとんど行かない状況ですが、新たにまちに入って来た人であれば、国道沿いのエリアにはないヒューマンスケールの居心地の良さに気づくことができます。一方、そんな意見をもらった地元の人は、ここがかつてにぎやかだったころの風景を思い出し、参加者へ共有していく。そんなやりとりが、あるべき「まちの姿」を少しずつかたちづくっていきます。
今後の自治体連携を考える上でも、積極的に各自治体の取り組みを具体的な空き家再生プロジェクトやエリアの活性化ビジョンとのつなぎ役として意識することで、より地域にマッチした空き家再生によるまちづくりのかたちが見いだせるだろうと考えました。
特に「空き家バンク」とセットで考えていく視点は重要になりそうです。今回もプロデューサーが移住定住コーディネーターとして、空き家バンクとのマッチングをしているからこそ、さまざまな利活用可能な空き家候補を見学してから、講義&ワークを行うことができました。